(気ままに加筆中 2005.10〜)防音室を作る といっても、自分で作ったわけではなくて、工事をお願いしたのですが、防音室の設置をお考えになっている方のために公開しておきます。 数ある防音技術 防音については、世の中には、防音効果があると称して販売されている商品や対策などが数多くあります。しかし、これらの中には、人間が感知できないほどのわずかな防音効果しか持たないものが数多くあります。また、使い方や音の性質によっては、音を伝搬したり反射するなどして、音が大きくなってしまうものすらあります。 防音室を作る理由 → グランドピアノを入れるため住宅地でグランドピアノを入れようとすれば、近所への音の漏れを考えると、防音室にするか、ピアノをサイレント機能付きにするかという選択になります。サイレント機能は、防音室に比較し安価ですが、楽器の音色を楽しむ、楽器の練習という点からは、機能的には不満足です。そこで、グランドピアノの導入に際して、防音室も一緒に作ることにしました。 グランドピアノの選択餓鬼どもは、どこで聞きかじってきたのか、ヤマハじゃなきゃいやだと抜かしやがる。 小さなモデルは音の感じでアップライトとの差が小さく、ヤマハといえど音が悪い。だからといって、部屋の大きさと予算からモデルが限られる。最終的に、C2、C3 と迷いましたが、一つ上の C4 と同じハンマーアクションと、象牙に近いキートップを持つ C3 にしました。 防音室の方針 夜10時までは弾けるような防音としたい。防音室はピアノよりも高価であり、やり直しが難しいので、原理的に遮音が確保できる方式を採用すべきと考え、壁に防音材を貼るのではなく、部屋の中にもう一つ部屋を作る方式を選択しました。 遮音性能についてちなみに、Dr35 の 35 とは、35dB (デシベル)の遮音性能があるという意味です。10dB
で音が 1/10、20dB で 1/100、35dB では、約 1/3000
となります。この数値は、非常に小さくなるように思えるかもしれませんが、そうでもないのです。人間の耳で聞くことができる音の大きさの幅(ダイナミックレンジ)は、1000万倍以上あります。床に針を落とす音から、耳が痛くなるジェット機の騒音まで非常に幅広いのです。 基礎工事 防音室、グランドピアノ、本棚で 2t
近い重量になることが予想されました。部屋の中に大型の乗用車を
1
台置くような重量です。多少、床の強度に不安があります。そこで、床を張り替えることにしました。床を全て取り払い、根太を補強し 27mm構造用合板を張りました。通常なら、さらに床材をはりますが、防音室を上に載せますので、構造用合板のままとしました。下の画像は、床の張り替え後の画像です。床は構造用合板そのもののです。防音室と敷居の高さを同しにするために床面を
3cm
下げました。今まで使っていたアップライトピアノが置いてあります。 防音室本体工事打ち合わせや設計に時間がかかりましたが、最初の打ち合わせから約2ヶ月後に工事が始まりました。これは、1日目の作業終了時の様子です。部屋の中に作る部屋の外壁部分は、天井も含め1日目で終了しています。 下の画像は、防音室の床と壁の工事の様子です。中央の防音室の壁は、左側の家屋の壁から離れて設置されています。また、床も、防音材の上に設置しているので、家屋の床である構造用合板から浮いています。完成時には、この隙間及び木口などはきれいに化粧板が張られて見えなくなります。また、これだけ、隙間があいていますので、部屋は一回り小さくなります。
2日目には内壁が張られ、3日目には、照明などの電気器具及びサッシ類、4日目は細かい部分と清掃という日程で完成しました。照明は、この部屋にあった既存の器具を使うことにして、予算を少し浮かせました。ドアが2つありますが、左側のドアはピアノを搬入する目的だけのためのドアで、搬入後は開かずの扉とします。そうでもしないと、大量の本が整理できないのです。 下の画像は、窓側のサッシです。上から、雨戸、家屋のサッシ(何れも閉じている)、防音室側の2重サッシ(開いている)です。窓を開けるのが億劫になります。 下の画像は、納戸を使うためのサッシです。遮音のため2重となっています。実は、残響においてこの大きなガラス板は大変厄介な存在です。その後、表面に断熱シートを張る、厚いカーテンを掛けるなど、ダンピングに苦労しています。 エアコン取り付けとグランドピアノ搬入5日目の午前中にエアコン取り付けが行われました。エアコンの配管は、防音室壁、家屋の壁と2重の壁を貫通する必要があるために、専門の業者に依頼しました。午後にグランドピアノが搬入されました。ヤマハの C3 です。この時点では輸送で狂いが生じ、調律が完全ではありません。各弦でうなりが発生し、また音階も狂っていますので、変な感じでした。しかしながら、アップライトとは一線を画す、音の豊かさは伝わってきます。特に低音の響きは全く別の楽器と思わせるほどの迫力です。 部屋の大きさは、ピアノの周囲を人が通れる程度の隙間(30〜50cm)しかありません。6 畳でこの程度ですから、それ以下の大きさの部屋では、人の移動が難しいでしょう。 調律調律により、音がよみがえりました。グランドピアノは、天板を開けるとまた格段に音が良くなります。せっかくの防音室なのですから、天板は開けて楽しみたい。 遮音性能ピアノの天板を開けた状態で、チェックしてみました。 防音室の壁のみの廊下側では、曲目がわかる程度の音の漏れがあります。 居間との間は、防音室の壁、引き戸(防音室壁と本棚に挟まれて事実上の開かずの戸)、30cmの本棚で仕切られています。居間では、壁を通しての音は洩れていそうにありません。しかし、居間と防音室の間には、ロスナイ換気扇が通っており、これを通して音が若干洩れます。軽い BGM 程度。テレビを付けていたら、あまり気にならない程度です。 家屋の外では、ピアノの音は聞こえますが、秋は虫の音の方が大きいです。曲目はわからないです。また、150m 離れた道路を通る車の音の方が大きいです。おそらく、隣家の屋内では聞こえないと思います。 困ったこと防音室の中にいると、玄関のインターホンや電話の音が聞こえない。電話は、ワイヤレスの子機を持ち込むこととして、インターホンはどうするか思案中。 デッドな音場への努力サッシのガラス面で反射音がひどいので断熱シートを張りました。いくらか改善されましたが、厚いカーテンなどさらなる対策が必要です。本棚の持ち込みは、部屋が狭いので、75cm 幅、30cm 幅が各1個となっています。どうするか思案中。 下の画像は、75cm幅の本棚(左)と断熱シートを貼り付けたサッシの状況です。広角レンズを使ったので距離感がつかみにくいですが、ドアはサッシの所までフルオープンします。また、左側の壁とピアノの間は50cmの間隔です。本棚とピアノの間も30cm以上の間隔があり、ピアノの周囲は普通の体格の人であれば通り抜けることが可能です。 費用これだけの金額があれば、群馬の山奥に 100 坪の土地を買い、天文観測ドームと掘っ建て小屋を立てて、週末にこもることもできたのに、、、、、指さして、親バカとののしってやって下さい。 デッドな音場2(2005年11月)本棚3つを持ち込み、さらにサッシの前には厚いカーテンをつり下げるなどしました。これで、不快な反響音をほぼ抑えることが出来ているように思います。 湿気対策(2006年1月)乾燥しがちな冬でも、窓の結露に代表されるように、気温が低下すると湿度が 70% を超えることがあります。梅雨の時期はさらに深刻でしょう。ピアノは、湿気が大敵です。実は、上で紹介したアップライトピアノも湿気のため一部の鍵盤の動きが渋くなったりしました。カビ、錆の発生も心配です。そんなわけで、除湿器を入れました。結果的に、購入したのは、東芝の RAD-63DRX という除湿能力 5.6L/day のコンプレッサー方式の製品です。 参考までに除湿器の選定理由を列挙しておきます。 1. 除湿器の方式 2. 除湿能力 3. 電気料金 再び調律(2006年2月)新品のピアノは、音が狂いやすいです。また、弾き込むにつれて、徐々に音が出てくるようになりますので、整音も必要になります。調律師さんには、半年後と言われておりましたが、音程の狂いというか、弦のうなりが気になり始めたので、少し早めに調律していただきました。調律後、心なしか音に力強さが出てきたように思います。 経過報告(2011年10月)1. 防音室内との連絡 2. 電話 3. 湿気対策 |
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